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第3回優勝 森吉選手

  • 執筆者の写真: riddlef355
    riddlef355
  • 2016年8月4日
  • 読了時間: 5分

更新日:2022年8月17日


ドラコン賞:西/中澤君、森吉君、 東/森吉君、菊池君

ニアピン賞:西/大木君、酒井、 東/大木君、原君

馬券当選者:神田君/加藤君/森吉君/大木君(2口)/酒井

やがて空の薄雲が吹き払われ、空の青さが現れ始めた。それは真夏の濃い青さで、遠くまで突き抜けるような大きな色彩であった。気温は朝からグングン上昇し、緊張感のないぽわんと生ぬるい風が、周りの光を揺らしているように感じた。

前回(3月)のコンペでは、スタートホールに紅白の梅が開花し、春の訪れが近いことを告げていた。

それから早5カ月余りが過ぎた。

まだ、朝の6時半だというのにゴルフ場のレストランには既に全員が揃っている。

「どうだい、最近のゴルフの調子は?」とか「やってる!?ゴルフ?」

「まずまずかな。」

「ぼちぼちかな。」

「なかなか上手くいかないな」

と、言う社交辞令めいた言葉から始まるが、胸の内は違う。

誰も「好調」などという言葉は使わない。あの悔しいコンペの結果から、この5か月間、猛練習に勤しんだことを胸の内に秘め、調子が上向いていることは、口が裂けても言わない。

もう還暦を迎えた友もいるし、まさにこれから迎えようとしている友もいるが、還暦になったくらいで何も変わったことはない。会社の定年制を迎えて仕事の区切りとなる人もいるが、顔を見ればわかる。

還暦前の働き盛りと何ら変わっていないし、眼にはまだ勢いが見える。

真っ赤な帽子に真っ赤なポロシャツ、隠れて見えないが真っ赤なソックス、と還暦ムードいっぱいの友もいる。我々からプレゼントした赤い帽子を被っている。そして今回、初参加の女性がいる。参加者が増えてくると“楽しいゴルフ”がまた一段と面白くなる。

​「ほれ、そこのボケ!男だけでゴルフしおって!」

「………は、は…はい、御最もでございます!」

「うそ!!!!!私も入れて下さい!」

さてさて、

朝食後は、皆、クラブを持って練習場に向かっている。そのうちの一人が、ひと箱のボールも打たぬうちに、汗が噴き出し、ポロシャツの背を濡らし始めていた。一段と引き締まった背中の筋肉に、少しポロシャツが小さく見えた。腕や胸の筋肉も未だに衰えてはいないのだろう。

この5か月間、誰にもわからぬように相当量の練習をして来たのであろう。一見マイペースに見える友だが、勝負事に関して言うと誰にも負けたくないという気持ちが人一倍強い。

昔と何ら変わっていない。

強い陽光の下で朝露に濡れた芝がうっすらと銀色に光り、凛とした立ち姿でいる友は久々の今日の熱いバトルに掛けているのだろう。どんなプレーを魅せてくれるか楽しみだ。

​そんな中、まじめにパッティングの練習に勤しんでいる者もいる。

「8.0フィートの遅いグリーンだ。重い。」

長いパットから短いもの、上り、下り、フック、スライス等、試行錯誤を繰り返していた。首を傾げたりもしているが、遅いグリーンを対峙していたその顔は、真剣そのものだ。

朝の7時半にもかかわらず、友の額から汗が噴き出し、ポタポタと音を立てるように芝生に吸い込まれていった。

さあ、そろそろスタートの時間だ!

今回は、南房総にある大多喜城ゴルフ倶楽部。コース設計は金田武明&ゲーリープレヤー。

なだらかなスロープを描く広々とした自然の大地に、個性あふれる27ホールがレイアウトされている。

パッと見、高低差もあまりないように見え、優しく素直に見えるコースだが、打ってはいけない処にボールが行くと大叩きをするホールもある。それでも、初心者から上級者までティー位置によって十分に楽しめる。

1組目 8:00 スタート    森吉、加藤、菊池、河合

2組目                        田胡、神田、原

3組目                          中澤、大木、酒井 (敬称略)

今回は、西から東にラウンドするコースを選択した。(コースレート 68.9)

西コースは、距離は比較的短め。但し、フェアウェイのアンジュレーションがきつく、左足下がり、つま先下がりといった場所からのショットだと、思った通りの方向に打ち出すのは簡単ではない。

東コースのフェアウェイは、適度な起伏で楽しめるのだが、ガードバンカーが効いて、波のようにうねったグリーンもあり、簡単にパーは取らせてくれない。

また、グリーンに乗っても、グリーンの傾斜がきつくフェアウェイの花道まで戻されてしまうホールもある。

見るからに荒れた海のように大きくうねっている大地。

そして大きな白波のように見えるバンカーがあちこちに配置してある。

ティーグランンドに立つと、その大きなうねりは誰に向かって吠えているのか、と思うぐらい表情を露わにしている。

「ど真ん中に打って見ろ」と言わんばかりに、白い牙を向けて僕らを威圧する。

その自然の地形がゴルファーに妙なプレッシャーを与え、スイングのタイミングが微妙にズレる。

大地がしゃべるわけがないのだから、と自分に言い聞かせる。

余計なことを考えてはいけない。マシーンのように無心で打つ。思考は禁物。

打った白球は大きな弧を描きフェアウェイの真ん中に勢いよく飛んで行ったが、落下地点に行ってみると波のような起伏があり、まっすぐ飛んで行った白球がラフまで転がっていってしまった。

友との闘いのコンペとは言っても、やはり自然との闘いであり、心理面での変化が如実に現れるゲームだ。優勝は簡単ではない。精神面も鍛えねば、と己に言い聞かせる。

​フェアウェイの勾配が急に険しくなった。

​息を切らしながら坂を登り切ると、たくさんのあぶら蝉が松の枝にしがみついて、暑さを掻き立てるように鳴いていた。頭がぼっとするくらい暑い。ひどく暑い夏の午後で風が止んでいる。

この猛暑で体力が奪われてしまったのか、右足に粘りがないため一瞬腰が早く回ってしまう。そのため、ボールが左方向に行ってしまった。体力も課題だな。

​プレー後のパーティ会場では、次回の日時やコースなどの話題になると、皆、えびす顔になって「いつだ!どこがいい!」とざわざわし始める。

こみ上げてくる嬉しさを抑えきれないのだろう。そうして、にやにやと唇をほぐしながら、顔の筋肉が弛むような大きな笑顔になる。次回が待ち遠しいのと、自分に対する期待があるのだろう。

還暦を迎えた大人の顔に、子供っぽい表情が現れる時でもあり、その笑顔は倶楽部ハウスを離れるまでは止まないのである。


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